JADCとは

設立趣意書

最近における航空機の飛躍的進歩は、大量の旅客および貨物の高速かつ低廉な輸送を可能とし、交通輸送革命が世界的に急速な勢いで進展しつつあります。

わが国においても、所得水準の向上、経済規模の拡大等にともない、航空輸送が大衆化し、社会経済活動の中に定着しつつあり、今後ますます普及発展段階を迎えようとしております。このような内外の航空需要の増大は今後膨大な航空機需要をもたらすものであります。

また、今わが国産業は繁栄し、国際競争力を誇っておりますが、この繁栄の基礎となっているかなりの産業が近い将来発展途上国にとってかわられているおそれもないとはいえません。したがって、日本経済が今後も継続的な発展をとげていくためには、長期的な観点から新しい未来の重要産業を見つけ、育てていく必要があります。

航空機産業は、その知識集約性、技術先端性から、わが国の重要産業となる資格を十分備えているものであります。

しかしながら、わが国の航空機産業の現状を見てみますと、YSー11をはじめとするいくつかの機種の自主開発等を通じ一応の産業基盤はできているものの、現在の世界の航空界のニーズに答えるべき主力商品、具体的には YSー11につづく民間輸送機を持っておりません。そのため、その規模は不十分な段階にとどまり、その生産構成も先に述べたように今後大きな需要の見込まれる民間航空機の部門は、微々たる状態であります。

この状態を打破し航空機産業をわが国の重要産業として大きく発展させるためには、次期民間輸送機を開発することが急務であります。

この課題に対して通商産業大臣の諮問機関の航空機工業審議会はその答申で以上のような趣旨を述べ、さらにプロジェクトを進めるにあっては、民間輸送機開発には巨額な資金を必要とし、またリスクの軽減をはかる必要があることから、政府の大巾な助成と国際的な共同開発を行うことが必要であるとしております。さらに審議会では昨年秋にいたり、次期民間輸送機YXは、150~200人乗りの低騒音で経済性の高いジェット旅客機とし、米国ボーイング社と国際的に共同して開発を行うべきであるという結論を出しております。

政府の方でも、これをうけまして、昭和48年度は開発の初年度として、調査研究作業に要する経費に対して高率の補助金を計上しておられる次第でございます。

よって、以上の趣旨から民間輸送機の開発を推進するための中核体として、われわれはここに寄付行為にもとづく財団法人民間輸送機開発協会を設立しようとするものであります。

われわれは、関係者の総意と努力によって本協会の目的遂行に邁進し、もってわが国航空機産業の向上発展と産業経済の健全な繁栄に寄与することを固く決意するものであります。

昭和48年3月

財団法人 民間輸送機開発協会

設立発起人一同